非行少年の立ち直りを30年以上支援

 2018年4月15日のニュースに、「非行少年の立ち直りを30年以上支援 呉山 良雄さん(76)」というものがあった。
 滋賀県湖南市で30年以上、非行少年の立ち直りを支援する「青少年指導支援の会」を率いる。愛称は「呉山のおっちゃん」。県内の中学校教諭や主婦ら13人とともに、補習の勉強会や清掃活動などを通して若者に寄り添う。
 地元の石部中学校のPTA会長だった時、住民と教諭が開いてきた非行少年向けの勉強会を引き継いだ。週1回開くとともに、勉強会に参加する生徒の自宅を何度も訪ねて悩みをじっくり聞いた。
 分かったことは、親が生活で精いっぱいで子どもの面倒まで見きれない現実。「このままでは子どもが大きく道を踏み外してしまう。何とかしてやれないか」。そんな気持ちから活動にのめり込んだ。
 2003年からは、コンビニや公園でたむろしていた暴走族に声を掛け、JR石部駅周辺の清掃活動を始めた。現在も続く月1回の活動には、かつて勉強会に参加した少年の姿もあるという。
 「本心から心配し、しかってあげる。将来を本気で考えてあげる。そんな大人がいると分かれば、子どもは素直になる」。寄り添ってきた子たちが、いつか会の活動を引き継いでくれることを待ち望んでいる。
(成田嵩憲)

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虐待危険度に判定基準

 2017年3月10日の朝刊より、「虐待危険度に判定基準」の引用。
警察庁、全国に表作成指示
 増加の一途をたどる児童虐待。子どもたちが悲惨な事件の犠牲になるのを防ぐため、警察庁は2月、全国の警察に対し、虐待の通報があった際に危険度を判断するための要素をリストアップした「アセスメント(評価)表」の作成を促す事務連絡文書を出した。
 診療を要する頭部の外傷、身体拘束・監禁、裸体の撮影・・・。警察庁はこの文書の中で、虐待の判断要素となる「具体的事実」を例示。担当者は「この中の一つでも該当するものがあれば、確実に児童相談所への通告となる」と説明する。
 警察庁は、具体的事実について①緊急性が高いもの②状況によっては緊急性のあるものーに分けて説明。①は「幼児を投げる・揺さぶる・踏みつける」など約20のの事実を例示し、一つでも該当すれば児相通告となる。「不自然な部位の傷」「食事・着替えをさせない」など35例ある②では、複数が該当すれば児相通告の対象としている。

少年法 立ち直りこそ第一に

 2017年2月20日の朝刊の社説欄より、「少年法 立ち直りこそ第一に」の引用。
 少年法の適用年齢を十八歳未満に引き下げる諮問が法制審議会に出された。現行制度は刑罰よりも保護が適切だと判断された経緯がある。立ち直りを第一に考えて、安易に引き下げるべきではない。
 少年事件はすべて家庭裁判所が事件の調査をする。少年鑑別所で約四週間、心理学や教育学、社会学などの科学的見地から鑑別調査が行われる。
 同時に家庭裁判所でも調査官が非行少年や両親らに面接したり、学校や勤務先で聞き取り調査などが行われる。人間行動科学に基づくデータを踏まえ、非行の原因を探り、背景を解明し、その少年にとって最善の処遇方法を決める。
 もともと少年は成長過程にあり、犯罪も資質と生まれ育った環境に大きく起因していると考えられているからである。立ち直りを第一に考えて、制度設計がなされているともいえる。
 日弁連によれば、現行制度ができた一九四八年には国会でもそのような考え方が広く支持された。「この年齢の者はいまだ心身の発達が十分でなく、環境その他外部的条件の影響を受けやすい」「彼らの犯罪が深い悪性に根ざしたものではなく、刑罰を科するよりは、むしろ保護処分によってその教化を図る方が適切である」などの答弁がある。
 刑務所に入れるよりも、教育の力が再犯の防止に有効だと考えられたのだ。犯罪や非行に走る少年には自己肯定感が低いというデータもある。「自分など生きていても仕方がない」などと考えてしまう。だから、再犯防止に必要なのは、まず少年の深い心の傷を受けとめることである。
 教育の力によって、少年は被害者の痛みや心情に向き合うことができる。謝罪の気持ちもそうして生まれる。このことは米国で論証されている。司法省の一機関が発表した論文では、六つの研究において、「刑事裁判所に送致された少年は、少年裁判所に送致された場合より、より高い再犯リスクを有する」という結論を導き出しているという。
 確かに選挙権年齢は既に十八歳に引き下げられた。民法の成人年齢も同様に引き下げる法案が準備されている。だからといって、少年法も連動させていいのか。仮に引き下げれば家庭裁判所が取り扱ってきた少年被疑者の約40%は少年司法手続きからは除外される。法の目的に照らし、少年法は考えるべきである。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017022002000127.html

少年鑑別所へ 非行相談急増

 2017年1月5日の朝刊に「少年鑑別所へ 非行相談急増」という記事が出ていた。
15年「本業化」知見に強み

 非行防止のために少年鑑別所が保護者や学校関係者から相談を受ける「地域援助」の件数が2015年は4631件上り、14年の約2.5倍になったことが4日、法務省への取材で分かった。新たな法律の施行で鑑別所の本来業務となったのが要因。法務省は少年事件に関わる職員の経験を生かすため、さらに周知を進めたい考えだ。
 少年鑑別所は本来、少年審判手続きの中で家庭裁判所の求めに応じ、心理学や教育学などの知識に基づいて非行に至った背景を分析し、改善のための指針を示す役割を担っている。
 従来も「本業に支障のない範囲」で保護者らの相談を受けていたが、15年6月の少年鑑別所法施行で本来業務に位置付けられた。法務省によると、10年に1103件だった相談は年々増加し、14年は1907件。15年は4631件に急増した。
 東京都練馬区の東京少年鑑別所は新法の施行に合わせて「地域非行防止調整官」のポストを新設。相談しやすい環境を整備した。
 「高校生の息子が同級生の物を盗んでいる」と母親が相談に訪れたケースでは、半年間のやりとりで、自己表現が苦手なため学校で孤立し、家庭でも気持ちをうまく伝えられないことが判明。鑑別所の助言で親子のコミュニケーションが回復すると、クラスにも溶け込んで盗みをしなくなったという。
 東京少年鑑別所の担当者は「こうした成功例だけではないが、問題がどこにあり、どう改善していけばいいのかを分析するノウハウがあるのは鑑別所の強み。スキルを磨いて、支援が必要な人を助けたい」と話した。
少年鑑別所
 少年審判が開始するまでの間、家庭裁判所の観護措置決定に基づいて少年を収容する法務省所管の施設。少年の健全育成や、地域社会の非行・犯罪防止活動を支援するのが主な業務。面接や心理検査のほか、家庭環境や交友関係の調査も実施し、結果を家裁に通知する。分所を含め全国52カ所に設置されている。収容期間は通常4週間だが、最長8週間まで延長できる。

里親制度 担い手のサポートを

 2016年6月9日の朝刊の社説より、「里親制度 担い手のサポートを」の引用。
 親と一緒に暮らせない子を家庭に迎える里親制度は広がるのか。改正児童福祉法は子どもが施設での集団生活ではなく、一人一人が家庭の中で育てられることを求めている。担い手を支えたい。
 先の国会で成立した改正児童福祉法は、親と一緒に暮らせない子どもが、家庭と同じような環境で育てられることを求めている。これまでは、乳児院や児童養護施設に預けられることが大半だったが、これからは里親などへの委託を優先する。とくに就学前の場合は原則として「家庭養育」にすると明記された。
 戦後から続く施設収容を中心にした児童福祉政策の転換といえるが、背景には増え続ける虐待がある。親の暴力や育児放棄にあった子どもは心身の発達に問題を抱える場合が少なくない。集団で生活する施設では一人一人の問題に目を向けることは難しい。小さい子の場合は、とくに愛着形成のためにも家庭で育つことが望ましいという考え方もある。
 改正法では、実親との法的関係を残して親になる里親だけでなく、実親との関係を戸籍上抹消する特別養子縁組についても広がるよう制度改正に取り組むとした。
 問題は里親をどう増やすかにある。原則十八歳まで養育する里親は現在、児童相談所の面接などを経て全国に約一万人が登録。児相から委託された約五千四百人を育てているが、担い手は経済力のある夫婦などに限られている。
 以前は専業主婦に限られていた里親になる条件は、いまは主流になった共働き夫婦も認められるようになった。もっと担い手を増やすには、育休制度の幅広い適用も求められるだろう。
 里親には事前研修だけでなく事後の支援が大切になる。子どもは生い立ちに問題を抱え、家庭に迎えた後に子育てに悩むことが少なくない。児童相談所には里親への相談業務が加わったが、専任職員を置いて専門的アドバイスを得られるようにしたい。
 どの子も基本的に家庭的な環境で育てられるのが一般的な欧米と違い、日本は里親に預けられる子の割合が15%しかない。
 政府は保護の必要な子の受け皿として、里親、小規模のグループホーム、施設で三分の一ずつとして、里親委託率を十数年後に三割とする目標を掲げる。もっと加速させられないか。NPOなどと協力しながら里親への委託率を上げている静岡市や福岡市などにも学び、担い手のすそ野を広げたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016060902000139.html
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