平均値のこと
「月刊JTU」2012年4月号より「なださんのメンタル・スケッチ 36」の引用。
「先生、ようやく、平均値の問題、少し取り上げられるようになりましたね」
知人から、電話があった。
「そうですか、だれが取り上げましたか」
「大学の数学の先生たちですよ。『ゆとり教育を受けた人たちは、数学の基礎的なことがほとんどわからない』と危機感を露わに、記者会見していました」
「そうですか」
「”ほとんどのデータは平均に近いところに集中する。○か×か。”○と答える人が多いそうです」
「じゃあ、なぜ×なんですか」
知人は最近の若い人ではなかった。既に、かなり年配と呼ばれてもいい年頃に達していた。彼女は、目を白黒させているだろう。直ぐに答えが返ってこない。
「データの中に、ほかの100倍も1000倍もの大きな数値を持つものがあれば、平均値は上がってしまうので、大多数は平均よりかなり低いところに集まることになります。よく、例に出されます。たとえば、40人のグループがあって、大多数が、標準的サラリーマンの給料をもらっている。しかし、中に大金持ちが混じっていて、39人のサラリーの100倍も収入があるとする。すると大多数の者は、おれはそんなにもらっていないと思う」
「なるほど、分かります、分かります」
「じゃ、そんなことこれまで知らなかったの」
ぼくは意地悪く、そう質問した。
「えへへへへ」
相手はごまかしている。
「じゃあ、最近の若者だけじゃなかったのだね。かなりのおじさんもおばさんも、平均値の意味が分からなかった。それを最近の若者、ゆとり教育を受けた若者だけが、数学ができないかのようにいうのは、正しくないね。その数学の先生たちの結論の出し方は、コントロールを欠いているよ。初めから、ゆとり教育で、数学の学力は落ちている、という偏見を抱いた調査だったようだ」
「なるほど、最近の若い者と同時に、おじさんおばさんにも、同じテストをしていなければ比較になりませんね」
「その数学の先生たちに、記者会見の場で、国語と英語と数学の平均点というのは数学的に正しいか、だれかが質問してくれればよかったな」
「先生、ようやく、平均値の問題、少し取り上げられるようになりましたね」
知人から、電話があった。
「そうですか、だれが取り上げましたか」
「大学の数学の先生たちですよ。『ゆとり教育を受けた人たちは、数学の基礎的なことがほとんどわからない』と危機感を露わに、記者会見していました」
「そうですか」
「”ほとんどのデータは平均に近いところに集中する。○か×か。”○と答える人が多いそうです」
「じゃあ、なぜ×なんですか」
知人は最近の若い人ではなかった。既に、かなり年配と呼ばれてもいい年頃に達していた。彼女は、目を白黒させているだろう。直ぐに答えが返ってこない。
「データの中に、ほかの100倍も1000倍もの大きな数値を持つものがあれば、平均値は上がってしまうので、大多数は平均よりかなり低いところに集まることになります。よく、例に出されます。たとえば、40人のグループがあって、大多数が、標準的サラリーマンの給料をもらっている。しかし、中に大金持ちが混じっていて、39人のサラリーの100倍も収入があるとする。すると大多数の者は、おれはそんなにもらっていないと思う」
「なるほど、分かります、分かります」
「じゃ、そんなことこれまで知らなかったの」
ぼくは意地悪く、そう質問した。
「えへへへへ」
相手はごまかしている。
「じゃあ、最近の若者だけじゃなかったのだね。かなりのおじさんもおばさんも、平均値の意味が分からなかった。それを最近の若者、ゆとり教育を受けた若者だけが、数学ができないかのようにいうのは、正しくないね。その数学の先生たちの結論の出し方は、コントロールを欠いているよ。初めから、ゆとり教育で、数学の学力は落ちている、という偏見を抱いた調査だったようだ」
「なるほど、最近の若い者と同時に、おじさんおばさんにも、同じテストをしていなければ比較になりませんね」
「その数学の先生たちに、記者会見の場で、国語と英語と数学の平均点というのは数学的に正しいか、だれかが質問してくれればよかったな」
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