アサーティブ・トレーニング

コミュニケーションは改善できます。
 アサーティブとは、自分も他者も尊重するコミュニケーションのあり方。つい言い過ぎてしまう方、言いたいことを飲み込んでしまう方、話しているうちに言いたいことが分からなってしまう方などにぜひ取得していただきたいコミュニケーションの考え方と方法です。
 自分の意見や気持ちを上手に伝えて、日常をもっともっと生きやすく、気持ちよく過ごせるようにしましょう。
<アサーティブ・トレーニング基礎編の内容>
①アサーティブとは何か
②自分のコミュニケーションパターンを知る
③理論を学ぶ
④方法を学び練習する(ちょっとした依頼やお断りができるようになります)
⑤ほめ方、ほめられ方を学ぶ
⑥自己信頼について学ぶ

「谷澤相談室」

http://ktanizawa.exblog.jp/
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注目のアクティブ・ラーニング

 2015年10月12日の朝刊より、「注目のアクティブ・ラーニング」の引用。
受け身の授業から「主体的な学び」へ
 教師が一方的に教え込むのではなく、子どもたちが議論や演習を通じて主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」(AL)の必要性が盛んに叫ばれるようになった。5月には、名古屋市を中心に高校教員有志らが自主的にAL型授業実践研究会を発足し、実践発表や模擬授業などを重ねて理解を深めている。合言葉は、居眠りゼロの授業-。
(築山栄太郎)
高校教員有志が研究会
 「私の授業では、黙って話を聞いている人、一生懸命ノートを取っている人は、態度が悪いということになりますから、気を付けてください」
 9月28日夜、名古屋駅近くの河合塾コスモ名古屋校。研究会のアドバイザーを務める産業能率大経営学部の小林昭文教授(62)が語り掛けると、約90人の教員が集まった教室は、どっと沸き返った。
 小林教授はAL第一人者の一人。埼玉県立高校の教員として物理を教えていた8年ほど前から始め、大学でも実践し続けている。
 この日は高校教員らが生徒になり、小林教授による「熱とエネルギー」の模擬授業を受けた。授業の組み立ては、こうだ。学習内容の説明15分、問題演習15分。確認テストを経て、振り返り15分。
 演習は①15℃は何Kか。また、300Kは何℃か②90℃の湯100gと10℃の水300gとを混ぜると何℃になるか-という設問。文系の教員らが悪戦苦闘する中、小林教授は6人が向かい合って座る席を巡回し、声を掛けた。「チームで協力できていますか」
 すると、頭を抱える教員に、先に解けた理系の教員が説明するなど、生徒同士の交流が始まった。ほぼ全員が、①の答えは「288K、27℃」、②は「30℃」と理解することができた。
 最初の説明で小林教授は、セ氏温度の単位が「℃」、絶対温度の単位は「K(ケルビン)」ということは口にせず、配布したプリントに書いていただけだったが、生徒同士のやりとりの中で自然に話題に上がり、知識として身に付いた。
 5月に始まった研究会はこの日で4回目。7月末の第3回には、教員2年目の石田秀憲・愛知県立松蔭高校教諭(25)が、自ら取り組んだ英語の実践例を発表した。
 石田教諭も、自らの説明は最初の15分にとどめ、二人一組のペアワークやグループワークを授業の中心に据える。演習は、個々の生徒が一人で考える時間を少し設けてから、グループで協力し合う形態に進む。
 AL型授業を1年以上試した結果、生徒からは「楽しい」とおおむね好評だ。担当クラスの定期試験の平均点は上がり、50点を切る生徒はほとんどいなくなった。石田教諭は「居眠りする生徒がいないからかなあ」とみている。
 ALは文部科学省が2020年にもスタートさせる次期学習指導要領の柱に位置付け、センター試験に代わる新たな大学入試に対応するためにも必要とされている。研究会の世話人を務める大同大大同高校の服部保孝校長(61)は「入試対策より、まずは授業がもっと面白いと生徒に感じてもらいたい」と、会のねらいを位置付ける。
 「研究会そのものが、一方的ではないアクティブ・ラーニング。公立私立問わず、さまざまな学校の先生に実践発表や模擬授業をしてもらい、どんな教科でもAL型授業ができるんだという認識を広めたい」と意気込む。
AL第一人者 小林昭文教授に聞く
 アクティブ・ラーニング(AL)のメリットやポイントは何か。小林教授に聞いた。
社会へもつながる形態
 人は、自分が育てられたように子どもたちを育てようとする。一方的に教え込むスタイルの授業を受けてきた先生たちが、これを変えるのは大変なこと。難しく考えず、少しでも長い時間、多くの生徒が主体的に学んでいる状態が続くような授業を目指してほしい。
 みんなでわいわいやることで、生徒自身が体験し、振り返り、気付き、新しい行動に進むというプロセスが起きる。居眠りをする生徒がいなくなり、これまで授業を聞いていなかった生徒たちが参加するようになるから、下位層の成績は簡単に上がってくる。
 ALは時間がかかり、授業が学習課程に追いつかないのではという誤解があるが、私は11月にほぼ1年間の授業を終えていた。プリントなどを工夫し、余計なことはしゃべらない、読めば分かることは説明しないのがポイントだ。
 社会人になって一人で仕事をすることはほとんどない。高校と大学の接続だけでなく、学校と社会の接続という意味でも、授業をALに変えていくことは大事だ。

アクティブ・ラーニングを支える協同学習

 明治図書の2015/10/1のメールより、引用。
 中央教育審議会の答申に「アクティブ・ラーニング(AL)」が初めて取り上げられたのが、2012年8月の「質的転換答申」である。それ以後、2014年12月の「高大接続答申」を経て現在に至るまで、日本の教育界はALを中心に語られることが多くなってきた。
1 アクティブ・ラーニング(AL)とは
 そもそも、ALとは何か。先の「質的転換答申」によれば、「教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修」と述べられている。また、「高大接続答申」においては、「学生が主体性を持って多様な人々と協力して問題を発見し解を見いだしていく能動的学修」という記述がある。
 これらの説明により、ALの理想的な活動場面を思い浮かべることは比較的簡単である。しかしながら、その活動をいかに引き出すか。ALの経験知の少ない教師にとっては難しい課題である。そのような教師が、一般的に効果的であると言われているALの具体的な学習法なり、実践例を求めることは当然である。
 現在、大学教育を中心に、ALの代表的な学習法として注目を集めているのが、PBL問題解決型学習法(Problem Based Learning)、プロジェクト型学習法(Project Based Learning, Group Investigation)、反転学習(Flipped Learning)、TBL(Team Based Learning)、LTD話し合い学習法(Learning through Discussion)、ジグソー学習法(Jigsaw)などである。これら欧米発の学習法を授業に導入・実践することが、AL型授業であるととらえている教師も多いのではなかろうか。
 これらの学習法に共通することは、グループ活動を前提としている点である。この観点から日本の教育現場を見渡せば、ALに分類できるグループ活動を前提とした学習法が少なからず存在することに気付く。同時に、それらに基づく授業研究が盛んに行われ、すでに数多くの理論的・実践的な研究知見が蓄積されていることがわかる。例えば、「学び合い学習」や「バズ学習」などに代表されるグループ活動である。これらの学習法を再度評価し、より効果的なグループ活動を展開することによって、中教審が求めているALを教育現場で実現できると考えている。その際、大きな役割が期待されているのが、協同学習である。

2 協同学習とは
(1)協同学習の考え方
 協同学習(cooperative learning)とはグループの教育的な活用であり、グループの学習目的を達成するために、学生が自分と他者の学習を最大限に高めるために協同して学習することである(Johnson, Johnson, & Smith, 1991/2001)。学習仲間とともに変化成長することを心から願う「協同の精神」をもった学生たちが、切磋琢磨しながら真剣に学び合う学習と言える。協同学習は単なるグループ学習の技法ではない。教育理論である。教育理論としての協同学習を理解したうえで、協同学習の技法を活用しなければ、大きな成果は期待できない。
(2)協同学習の基本構造
 協同学習には多くの技法があるが、それらには共通する基本的な構造がある。それがグループ活動における「課題明示→個人思考→集団思考」の流れである。これは、グループの活動性を高め、確かな学習成果を得るための工夫である。
 「課題明示」とは、メンバー全員が活動の目的と、そこに至るまでの手続き、及び個々人が行うべき活動内容を理解し、共有できるように教師が課題を示すことである。課題明示により、指示と同時に、学生はすぐさま積極的に活動を始めることができる。
 「個人思考」とは、課題明示で与えられた課題に対する自分なりの意見や考えを練ることである。自分の意見をもたずに話し合うと発言できない。他者の意見を聴くだけの受動的な活動になってしまう。
 「集団思考」では、メンバー一人ひとりが、自分の意見を「ほぼ同じ時間」を使って紹介する。1人のメンバーが話しすぎてはいけない。また、他者が発言しているときは傾聴が鉄則である。もし、発言内容が理解できない場合は、相手の発言内容を復唱して、理解の確認を求める。そして、全員の発言が終わった後、各自の発言内容の異同を確認し、意見の違いを手がかりに、対話を深めていく。
(3)協同学習の基本技法 
 この基本構造に依拠した最も簡単な技法がシンク・ペア・シェア(TPS:Think-Pair- Share)であり、ラウンドロビン(RR:Round Robin)である。
  TPSの手続は、下記の通りである。
①課題明示
 教師がクラス全体に話し合いの課題を与える。
②個人思考
 学生は与えられた課題について自分の意見を考える。
③集団思考
 学生をペアにして、1人ずつ自分の意見を、ほぼ同じ時間を使って述べる。その後、話し合って課題に対するペアとしての意見をまとめる。
④まとめ
 必要に応じてクラス全体で意見を交換する。
 各段階の所要時間は、TPSを導入する際の様々な条件(話し合いに対する学生の慣れや課題内容など)を加味して決める。大学生を相手にTPSを使う場合、筆者は個人思考を30秒から1分間、集団思考を3分間程度とすることが多い。
 RRの手続はTPSと同じである。違うのは人数のみである。TPSがペアで、RRが3人以上のグループで行う活動を指す。より多くのメンバーと、幅広い意見交換をさせたいと思う場合、TPSよりもRRを使うことが多い。

3 まとめ
 協同学習の根底にあるのは「協同の精神」である。協同の精神に基づいた質の高い効果的なグループ学習を実現することにより、ALに期待される本来の成果を得ることができる。本稿で紹介したTPSやRRといった協同学習の基本技法は、講義中心の授業にも比較的容易に取り入れられる。ぜひ一度、試みてほしい。これらの最も基本的な技法を活用するだけでも、協同学習がALを支えていることを実感していただけるものと確信している。
〈参考文献〉
Johnson, D. W., Johnson, R. T., & Smith, K. A. (1991). Active learning:Cooperation in the college classroom, 1/E. 関田一彦(監訳)『学生参加型の大学授業:協同学習への実践ガイド』玉川大学出版部, 2001.

安永 悟(やすなが さとる)
 九州大学教育学部助手、久留米大学法学部助教授、同文学部助教授を経て、現職。専門は教育心理学、協同教育。博士(教育心理学)。主著に『LTD話し合い学習法』(ナカニシヤ出版、2014年)、『活動性を高める授業づくり』(医学書院、2012)など。授業づくり研究会を主宰。協同の精神を基盤とした教育活動を標榜。小学校から大学までの先生方と活動性の高い授業づくりを展開中。

「0次対応」とコミュニケーション術

 『内外教育』2015年6月26日の「普通の教師が生きる学校 モンスター・ペアレント論を超えて」より、「「0次対応」とコミュニケーション術」の引用。
小野田正利(大阪大学大学院教授)
Point
①「後悔先に立たず」ではあるが、あとになって振り返ってみるとトラブル発生以前の「0次対応」が鍵だと気づくころがある。
②2次段階・3次段階に発展しないようにと考えることも必要だが、逆に元(最初)に戻って見る姿勢も必要
③問題発生前によい関係をつくるヒントを学ぶ
0次対応
 保護者対応トラブルでは、担任教師などから管理職への報告・連絡・相談が重要であると説かれることが多い。企業などのトラブル対応マニュアルでも判で押したように、「ほう・れん・そう」が語られる。問題の発生の初段階から2次対応、場合によっては3次対応までを見据えて、トラブルの行く末や終着点の見通しを立てるためにもそれらには必要なことである。
 しかし、問題が大きくなってから、過去のことを悔やんだり反省ししたりした際に「あ~、あの時はこうすれば良かったかもしれない」と思い出しながら反芻すると、確かに反省すべき点は「初期対応」以前の「もう一歩前の段階」にもあったことに気づくことがある。例えば、相手の立場を推し量る力(イメージ力)の不足と、むしろ自分の立場の絶対視(時には保身)という傾向が、トラブルを誘発する原因であったりする。
 つまり1次トラブル段階より前の「0次対応」といったレベルでの受け止めや接触が基本であり、そうとらえると紛争状態にまで発展してしまったトラブルの構造がよく見えてくる場合もある。他人の思いを聴くカウンセリングの基本技法としての「受容(傾聴・共感)」は、実は「0次対応」ではないかと私は言い続けてきた(図参照)。

 トラブルを大きくしないために、第1次対応(担任団や生徒指導担当)→第2次対応(教頭・校長らの管理職)→第3次対応(教委や第三者機関あるいは訴訟)で気をつけるべきポイントはいくつもあるが、むしろ「0次対応」ともいうべき初期の、担任レベルでの対応でかなりのトラブルは防ぐことができるのではないだろうか。
コミュニケーション術
 大都市部を中心に若い教師が急増している今日、このことを具体的に分かりやすく説明するものがないだろうかと思っていたところに、小林正幸監修・早川恵子編著「保護者とつながる教師のコミュニケーション術」(東洋館出版社、2015年)がタイミングよく登場した。臨床心理学を専門としている東京学芸大学教授の小林さんは、私の主宰する新新・学校保護者関係研究所の古くからのメンバーである。この本では、保護者と教師の間に行き違いが生じやすい30の場面設定をして、その中で保護者の思いや不安を「保護者はこう考えている」として解説し、では教師としてどうしたらよいかを「こんな対応が望ましい」として助言する、いわゆるQ&A方式をとっている。そこに示される数々のクレーム・トラブルには実にリアリティーがある。
 例えば、「3.子どもの気持ちをくみ取れず、すれ違ってしまう」では《心優しく穏やかなマサヒロさんは、友達とグループで活動するのが苦手。小学校3年生の5月頃、保護者から、マサヒロさんがクラスで乱暴が言葉をかけられたり、苦手な鬼ごっこにつきあわされたり、馬鹿にされているという、抗議の電話がありました。担任は本人たちから話を聞き、謝らせた上で仲直りをさせました。その後は仲良くしているように見え、一段落したはずなのに、以前保護者から「マサヒロが毎日嫌な思いをしていると言っている」との訴えが続きます。保護者は前担任や養護教諭へも相談にきているようです。頭を抱えてしまった担任は、校長に相談し、校内委員会を開いて検討してもらうことにしました》という事案が載っている(24ページ)。この事例はむろん架空のものだが「ウチの学校と同じだ!」と感じられる教師も多いだろう。イジメ問題がいったん収束した(と担任は思っている)あとも、なおも親の訴えが続くというケースは確かに多くなった。
 担任は「仲良くしているし、大丈夫そう」と判断した。マサヒロくんは、担任があまり向き合ってくれないと感じている。親は、心配のあまり「今日は、学校で嫌なことはなかったの?」と何度も訊くので、マサヒロくんは逆に不快なことばかりを思いだして口にするようになる。親は「やっぱり!担任はどうして何もしてくれないの?」と不信感を募らせるという構図である。
 親の行き過ぎた不安感情が関わっているかもしれないが、この問題の解き方は、マサヒロくんが言葉で自分の状況を伝えることが苦手かもしれないと思い、イジメ問題が終結した後においても、配慮を重ねることが必要だったことに担任が気づくことで、具体的な方針を親と一緒に立てていくことにポイントがある。「このような事例の場合、訴えがあった側の子どもや保護者とは、継続して話を聞く機会を持つようにします」と述べ、以下のような具体的な方針を立てることが説明される。
 《①担任は放課後に5分間マサヒロさんと毎日時間を設けて話し、楽しかったこと、できるようになったこと等ポジティブな事を聴いてほめ、連絡帳で保護者に伝える。②家庭で連絡帳に書いたポジティブな事を話題にして喜んでもらう。③マサヒロさんが浮かない顔をして帰宅した場合には聴くようにし、不快な感情を言葉で受け止めてもらう。ただし、自分から言い出さない場合は、無理に聞き出さない。④スクールカウンセラー・教育相談担当教諭は保護者に寄り添い、不安や心配が軽減するように話を伺う機会を設ける》(26ページ)
上級編?いえ、基本編です!
 「えー、難しいよ!これって上級編なんじゃないの?」と思われるかもしれない。確かに上記の図でいけばこの事案はすでに「2次対応トラブル」直前まで行っているケースである。しかし「そこから3次トラブルに行かないようにするには、どうするか?」を考えるのは逆であり正しくないということだ。つまり、「1次対応」からさらに「0次対応」まで戻って考えることが、実は遠回りに見えるが、もう一度もつれた教師と子どもと保護者の関係を「紡ぎなおす」気づきが生まれることを伝えようとする。「問題が起きる前によい関係をつくること」(3ページ)-そのヒントが、この本にはたくさんちりばめられている。むろん、一筋縄ではいかない解決困難ケースもあるが「これらは扱いません」(8ページ)と断ってある。
 社会が変化したという側面もあるが、保護者の動向に過度に身構える教師の側にも問題がありはしないか?適切な形でコミュニケーションをとろうとせず言い訳から入って、不必要なトラブルに発展させてはいないか?教師が相手の保護者を「やっかい者」「モンスター・ペアレント」扱いすることで、解決の筋道を自らが閉ざすことになっていないか?
 具体的で分かりやすい本書は、保護者対応に苦手意識を持っている若い教師に読んでもらいたいし、せっかくならここに示される事例について、いっしょに眺めつつ、ベテラン教師から体験談を話してもらったり、別の対応方法を解説してもらったりするような使い方をお勧めしたい(そんな時間がとれる職場であることを祈りつつ)。

文科省 火消し躍起 文系学部廃止通知

 2015年9月30日の朝刊より、引用。
 文部科学省が、6月に国立大に出した通知の火消しに躍起だ。教員養成系や人文社会科学系の学部の廃止などを盛り込んだ内容だが、学術界が「文系軽視」と強く反発した結果、「誤解を招く表現だった」と釈明している。(榊原祟仁)
「誤解」と釈明「真意」を説明
 問題となった通知の表題は「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」。下村博文・文部科学相名で各国立大学法人の学長らに6月8日付で提示した。特に大学改革が必要な対象として教員養成系と人文社会科学系の学部・大学院が名指しされ、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする」と迫った。
 「文系解体命令」とも受け取れる通知に怒ったのが、「科学者の国会」と称される日本学術会議だ。7月23日に幹事会として声明を出し、「国公私立を問わず大学のあり方全般に多大な影響を及ぼす」「大学教育全体を底の低いものにしかねない」と訴えた。
 文科省はようやく今月に入ってから対応を本格化させる。
 下村文科相は11日の記者会見で「非常に誤解を与える文章だった」と釈明するとともに、廃止を考えているのは教員養成系学部のうち教員免許を卒業要件にしない課程▽人文社会科学系まで廃止について言及しているわけではない▽先の予測が困難な時代を生きる上で人文社会科学系も質の転換が求められている-などと通知の「真意」を説明。18日には、文科省の担当者が、東京都内で開かれた日本学術会議の幹事会に足を運んで「真意」を重ねて説明した。
強まる批判
 とはいえ、新国立競技場の問題などで過ちを認めず後手に回った文科省だ。本当に反省しているのか。
 大学教育ジャーナリストの木村誠氏は「少し考えれば強い反発を招くことは分かったはずだ。なぜあんな表現にしたのか」と首をかしげる。「産業界には大学に実学を求める声がある。それを忖度(そんたく)しすぎ、先走った表現にしたのかもしれない」
 そもそも、教員養成系や人文社会科学系の廃止や転換といった通知の表現は、昨年9月に文科省が国立大学法人支援課長名で各法人に出した事務連絡にも明記され、当時から学者の間で「文系廃止につながる」との声が上がっていた。
 元文科官僚で京都造形芸術大教授の寺脇研氏は「ここにきて『どうも形勢が悪そうだ』と判断して釈明を始めただけ。どこか新国立競技場やエンブレムの問題と似ている」とみる。
 寺脇氏は、下村文科相の責任にも言及する。文科相は会見で「私が(通知の)一字一句を全部チェックしてオーケーを出しているわけではない」と発言した。「事務方の表現ミスと言わんばかりの態度はあまりに無責任。この軽々しさは、大学改革を真剣に考えてない証しだ」(寺脇氏)
 文科省は通知を撤回せず、一連の釈明だけで幕引きを図ろうとしている。
 藤田英典・共栄大教授(教育社会学)は「批判に耳を貸さないのが安倍政権。教育でもそうだ」と断じた上で、こう提言をする。
 「私立大は学生を集めるために実学志向を強めているが、そうした状況だからこそ、国立大学、特に人文社会科学系の役割をあらためて考えるべきだ。知性や批判精神をはぐくむ人文社会科学系の学問は社会にとって不可欠なものだ」

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ニャン太郎

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