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若い教師への手紙

 『内外教育』2015年4月3日より、「普通の教師が生きる学校 モンスター・ペアレント論を超えて」大阪大学大学院教授 小野田正利氏の「若い教師への手紙」の引用。
Point
①希望と不安の中で、教師生活のスタートを切った若い教師にエールを送る
②先輩教師からのアドバイスを謙虚に聞こう。困ったら素直にSOSを出そう
③まずは「授業力」と「子ども理解の力」を基本にして

若い先生を待ち望んでいました
 若い先生たちへ!学校現場は、皆さんが教師として学校に来られることを、本当に待ち望んでいましたよ。
 第2次ベビーブームのときに大量採用された、40代から50代の教職員が多数を占めていた頃、学校全体になんとなく加齢臭が漂っていた・・・というのは、もちろん冗談ですが、明らかに活気がありませんでした。「身体が思うように動かない」「子どもたちのありあまるエネルギーについていけない」30代後半なのに、この学校で私が一番若いんです」-。そんな消極的な声を、私は何度も聞かされてきました。「若い人(の血)が欲し~い」まるで吸血鬼・ドラキュラのようでした。
 ベビーブームが過ぎて、子どもの数が少なくなったとき「いまこそ30人学級にするチャンスだ。その分の教員がいま居る」という切実な声を無視して、教師を減らすことに血道をあげ、新採用をしてこなかったのです。
 それから数年がたち、あっという間に大都市部を抱える都府県では大量退職とともに、若い教師の採用数がピークを迎えただけでなく、近郊の他県でも増加傾向が続いています。たくさんの若い先生の登場を、子どもたちも待ち望んでいました。みずみずしさは最高の宝物なのです。
 「好きで教師になったので、子どもたちとの関係づくりはいいけど・・・、その保護者は・・・ちょっとというか、だいぶ苦手でです」って感じる教師も多いでしょう。だって「モンスター・ペアレント」なんて言葉も流行っちゃってるし、大学の教員養成カリキュラムでは、保護者についてはPTAについてちょっと触れられたぐらいだけで、ほかに何も教えてもらってないし・・・、と不安が先に立つことがありますね。授業参観もそうだけど、個人懇談や家庭訪問で「親御さんから何を言われるんだろうか、何を聞かれるんだろうか」と考えるだけで緊張してしまうことも多いよね。
 笑い話ではないのですが、新米はおいしくて喜ばれるけど、新米教師は不安をもって見られることが多いです。でも誰だって新米だった時期はあるし、年を経ることによって経験値を高めていくものなのですよ。あなたの周りにいる年配の教師に聞いてごらんなさい。誰も一つや二つの失敗や苦い経験を持っています。その先輩教師からいくつかのアドバイスを謙虚に聞いておくことが、いますぐには実行できないけれど、1、2年後にはけっこう役に立つと思います。
 恥ずかしくて、そんなこと隣の先生なんかに聞けない、それにとっても忙しそうだし、邪魔しちゃ悪いから、と思っていてはだめです。年配の教師たちに意見を聞くと、いまの若い先生たちは自分たちのときと比べて、とっても優秀で何でもできるし、うらやましいと言います。ただ一つ欠点を挙げると”何でも完璧を求めようとし過ぎるし、アバウトが許せないという思い込みが強いところかなぁ”という印象を語る人が多いです。そして”若い先生は、助けを求めるのがヘタだよ。もっと甘えたら”というベテランの先生の思いもよく聞きます。
 誰もが失敗を重ねて、ときには叩かれて、少しずつ自信をつけていくのです。隙を見せないように鎧で身を固めていると、他の先生がたも、どうアドバイスしていいかわからなくなります。少し肩の力を抜きませんか。
先輩教師の述懐
 還暦近い、老練な保育園長がしみじみと語った内容を紹介しましょう。
 ≪いま盛んに保護者対応だとか保護者支援という言葉が飛び交っていて、若い保育士や教師が苦労しているように言われますけど、そういった苦しさは、昔からいくらでもありました。私も40年前の短大を出たてのころ、園児のトラブルで、その親御さんと話をしていた際に「産んだこともないくせに!」って、面と向かって言われて本当に落ち込んだことが何度もありました。「私だって一生懸命なのに・・・」と、つっぷして泣いていたこともありますし、腹が立ってしょうがなく、歩きながらお店の看板を蹴ったこともあります。軽く、ですけどね(笑い)。
 当時の私は、そんなつもりはなかったのですが、ちょっと上から目線でモノを言っている雰囲気を漂わせていたんだろうと思います。相手の親御さんの置かれた状況を推し量ったり、家庭の状況をおもんばかることもなく、親御さんの不安や愚痴、絞り出すようにしてしゃべっておられたわが子への思いは聞き流して、ともかく伝えておかなければいけないという一心から、園側として言いたいことや倫理だけを、押しつけていたんだろうなぁと思います。
 ようやく30歳を過ぎてからですかねぇ・・・。自分も結婚し、子どもができて、働きながら子育てをすることがどんなに大変か。職場でやらなきゃいけない仕事は山のように降ってくるし、家のこともやらなきゃいけないし、わが子がどこかで悪さをして、他人に迷惑をかけているのではないかと不安に思ったり・・・。そこでようやく、多くの親御さんが、ときとして激しい口調で「結婚したことも、子どもを生んだこともないから、(あなたには)分からないでしょうけど!」とつっかかってこられる意味がわかりました。だって、ついついそう言いたくなりますもん(笑い)。
 あの言葉には、非難したり否定したりする意味はほとんどなくて「私だって辛いのよ。そのことをちょっとは(先生が)受け止めてよ!」っていう、頼ってくるというよりも、一種の悲鳴にも似た思いがこみ上げて出てきたのかもしれません。
 それにね、正直言って、相手が自分より10歳以上も年下だと「こんなに若い先生に、わが子を任せて大丈夫かしら」という漠然とした不安がよぎるのは普通だし「ここは一発ガツンと言っておいた方がいいわね」という年上という立場と、私には子どもがいるという鬱屈とした優越感が湧くことがあるのよねぇ。もちろん、若過ぎて子どもを預ける不安があるといっても、さほど根拠のないものだけど、齢を重ねて分かることも多くなりました≫
まずは授業力と子ども理解の力
 「保護者対応力」は教師としての必須アイテムではないと思います。教師として必要な力というのは、自分の教えるべき教科の内容を、いかに・わかりやすく・きちんと・丁寧に・面白く教えることができるか。一つめはこの「授業力」です。そして二つめは、まずます多様で複雑になる子どもたちの状況をトータルに把握できる力、つまり「子ども理解の力」です。この二つが基本です。「保護者とうまくやっていく力?」-そんなものを税所から身につけている教師なんていません。失敗しながらひとつひとつ、自分の身体にしみこませるような形で学んでいくようなものだと思います。それは時代が変わった今日でも同じです。
 間違ってはいけません!学校や教師は、とことん子どもと向き合ってなんぼです。保護者の歓心を買うことが教師の任務ではありません。
 それでも、いったん保護者とトラブルになると辛い状態になりますね。そこには双方が「子どもを見る視点の違い」が加わります。保護者は「わが子を中心」にして学校を見ています。一方で教師は、どうしてもクラスの「多数の中の一人」として、その子を見る傾向があります。親の言い方をすれば「1分の1」と「40(30)分の1」の視点の違いともいえます。でも立場や視点が違っているからこそ「対話」をする意義があるんです。
 「教師は理屈で説得する傾向が強くなり、保護者は思いで話す」ことから生まれるズレを修正しましょう。教師と保護者は、子どもの本当の願いや思いをいっしょになって確認し、その成長をいっしょになって喜び合える存在なのです。
 さあ、心を開いて、自分から保護者に声をかけましょう。保護者と教師は敵ではありません。

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