<変革2020> アクティブ・ラーニング(中)

 2017年1月15日の朝刊より、「<変革2020> アクティブ・ラーニング(中)」の引用。
◆大学教育の改善が発端に
 2020年度から順次実施される次期学習指導要領の柱「アクティブ・ラーニング(AL)」。教師が一方的に教えるのではなく、児童・生徒が主体的に学ぶという教育観の転換は、そもそもは大学教育の改善に端を発している。なぜ大学で、ALが求められるのか。
 東京・池袋にある立教大経営学部。二〇〇六年の学部発足時から米国の実践を取り入れて実施する「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」は、高度に設計されたALとして知られ、全国から大学関係者らが見学に訪れる。
 「論理思考」をテーマにした昨年十一月の授業では、一年生三十人が三、四人でグループに。スチューデントアシスタント(SA)と呼ばれる補助役の二年生が、クラスの懇親会の予算や会場をどうするかという問いを投げ掛けた。
 「どんな店がいいのかな」「予算は二千円? 三千円?」。六、七分ほど議論しても話は進展せず、再びSAが「どうしよう、どうしようで時間が過ぎてしまうよね」と切り出し、議論から講義へスイッチ。目的の確認、条件の検討といった話し合いを進める技術について説明を始めた。担当教員が時折補足するものの、全体的には学生中心で授業が進んだ。
 このプログラムの「リーダーシップ」とは、組織のトップの権限に頼らずに集団を動かしていく能動的な力のこと。一人一人に主体性やコミュニケーション力が求められる。学生たちは企業から示された商品開発プロジェクトに取り組むなどしながら、議論の進め方や情報伝達の手法も学ぶ。
 プログラムを担当する高橋俊之特任准教授は「専門的な知識だけでは不十分な時代。さまざまな人と力を合わせて物事を進める“筋力”を身に付けさせたい」と話す。こうしたリーダーシップ育成は、早稲田大や国学院大など他大学にも広がっている。
◆産業界側からもニーズ
 ALに関する理論の第一人者で京都大高等教育研究開発推進センターの溝上慎一教授(高等教育)によれば、ALは米国が発祥。第二次世界大戦後、特に一九六〇年代以降に大学は進学者が増加して大衆化が進み、従来の講義型では授業が成立しにくくなる中で、求められるようになった。
 日本では二〇〇〇年代以降、主に大学教育の分野で注目されるようになった。グローバル化や情報化、少子高齢化、日本型雇用環境や産業構造の変容など急激に変化する社会に対応する能力を、学生に備えさせていないという大学側の反省が一つの理由だ。
 産業界側の要望もある。人材育成会社・リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の古野庸一所長によれば、企業の研修でもAL型の講習が盛んだという。どの業界も「これまで通り」が通用せず、「議論を重ねて多様な意見をまとめて企画し、イノベーションしていく人材が求められている」と言う。
 国の教育施策では、一二年八月に中央教育審議会(中教審)が大学教育の改革を求めた「質的転換答申」に初めて登場。「未来社会を生き抜く力」を学生が身に付けるため「主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修」への転換が必要だとした。以降、政府の教育再生実行会議による第七次提言(一五年)や大学入試改革の方向性などを示した「高大接続改革最終報告」(一六年)にも盛り込まれ、教育のキーワードとなった。
 「社会の変化に、大学も対応しなければならない」と溝上教授は力を込める。京大生でも三割が就職できないというデータを挙げ、ALによって大学と社会を「接続」する重要性を説く。小中、高校でALを導入するのは、大学への「学びのリレー」が求められているからだ。
 では現場はどう受け止めているか。次回二十二日に報告する。
 (古池康司)
「政策として登場する「アクティブ・ラーニング」」
・学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要(2012年8月「質的転換答申」)
・小・中・高等学校から大学までを通じて、課題解決に向けた主体的・協同的で、能動的な学び(アクティブ・ラーニング)へと授業を革新(15年5月・教育再生実行会議第7次提言)
・課題の発見・解決に向けて生徒が主体的・協働的に学ぶいわゆるアクティブ・ラーニングの視点から授業改善(16年3月「高大接続改革最終報告」)

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