いじめの調査 公開してこそ役に立つ

 2017年3月2日の朝刊の社説欄より、「いじめの調査 公開してこそ役に立つ」の引用。
 自殺や不登校に追い込まれた重大ないじめを調べながら、結果を伏せる自治体が目立つ。責任逃れではないかとの疑念さえ湧く。社会全体で反省点を共有しなくては、再発防止にはつながるまい。
 いじめが引き金となって、子どもの生命や心身、財産に深刻な被害が生じたり、不登校を余儀なくされたりしていると疑われるケースを重大事態という。
 教育委員会や学校法人、または学校は、第三者委員会のような組織を置いて事実関係を調べ、被害者側に情報を提供しなくてはならない。いじめ防止対策推進法はそう定めている。
 看過できないのは、調査結果の公表に後ろ向きな自治体が多いことである。隠ぺい体質の仕業とすれば、いじめの根絶は難しい。
 共同通信の二月の集計では、公立学校での重大事態を受けて二〇一五年度に設けられた第三者委による調査で、結果がまとまった三十八件のうち、公表されたのは十六件にとどまり、十八件が非公表とされた。四件は不明だった。
 中には、被害者側の意向を確かめないまま非公表にしたり、委員の身元さえ明かさなかったりした自治体もあるという。一体、誰のため、何のために調べるのか。
 これでは調査の公平性、中立性に疑問符がつくだけではなく、単なる行政上の儀式に堕しかねない。失態を隠して、問題を矮小(わいしょう)化する意図があるのではないかと受け取られても仕方あるまい。
 例えば、福島原発事故で、福島県から横浜市に自主避難した中学生が、小学生時代にいじめられて不登校になった問題である。
 昨年十一月、被害者側が世に問うてようやく、学校側を「教育の放棄に等しい」と批判した調査報告書の一部が公表された。
 大津市でも、小学生が不登校になった問題を巡り、昨年五月にまとまった調査報告書を公表するよう被害者側が望んでいる。「加害側を生み出す土壌を放置した」と学校側を指弾している。
 無論、被害者、加害者双方のプライバシーへの配慮は欠かせない。けれども、それを盾に説明責任を避けるようでは、教育現場への不信は増すばかりだろう。
 中学生が自殺した問題を調べた名古屋市は昨年九月、学校名や生徒名を伏せた調査報告書を公表し、ホームページに載せた。こうした事例を幅広く共有して、いじめを防ぐ知恵を出し合いたい。
 子どものいじめは大人の映し鏡である。社会全体に責任がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017030202000139.html
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