親が子どもにうっかり授ける「裏の教育」「人格否定しなければ叱っていい」は大間違い

 「東京経済オンライン」より、「子育ての“常識”のせいで、愛情が空回り」の引用。
-親野先生は今の子育てにどんな問題があると思われますか?
 子育てや教育ってね、親や先生のなかに「太古の昔からの思い込み」みたいなものがいろいろあるんですよ。みんなそういうものに縛られているせいで、せっかく愛情があるのに空回りしていることが多いです。
 私が小学校の先生になったとき、子どもたちのいいところを伸ばそうと、いろいろ働きかけていたんですけれど、そうするとぐんぐん伸びていく子と、あんまり伸びない子がいるんですよ。
 なんでかな、と思っていて、あるとき気が付いた。親のなかには、子どもをものすごく叱ってるお父さん、お母さんがいるんだよね。
 たとえば、私が「○○くん、これがんばったね。よくできてるじゃん、自信もって!」といくらほめて帰しても、家で「あんた、これ何やってんの、ダメじゃない、○×▲※□……」と叱られ続けている子がけっこういる(笑)。ここだな、と思いました。
 とにかく親は、「また何々して」「なんで何々してないの??しなきゃダメじゃないの」と叱ることが非常に多いんです。
 親は「人格否定の言葉じゃなければ、いくら叱ってもいい」と思っているけれど、これは勘違いです。よく雑誌や本なんかにも「人格否定や存在否定はいけませんよ。“物事について”叱りましょう」と書いてあるけど、そんなことはない。
 もちろん、人格否定っていうのは最悪ですよ。「また片付けしてない。本当にお前“ずるい”ね」とか、「また妹を泣かして。あんたお姉ちゃんのくせに“意地悪”だね」とか、相手の能力・人格をまるごと否定する言い方をするのは、絶対によくありません。
 存在否定は、それ以上に悪いです。「おまえなんかいないほうがいい、目障りだから消えろ」とか、「おまえなんか、本当は産みたくなかった」とかね。これは一番最悪で、言われるとトラウマになってしまいます。
 大体の人は、そういう言葉は言わないんですけれど、そういう人でも、「物事についてなら、いくらでも叱っていい」と思っているんです。
 でも子どもの立場になってみると、結論としては同じなんですよ。何度も言われ続けると、「ああ、僕ってダメな子だな~」になるんだよね。
 そうすると、自己肯定感がぼろぼろになっちゃうんだよね。勉強でも運動でも生活習慣でも、遊びでもなんでも、「わたしはできそうだ」と思えなくなっちゃう。やる気が出てこないから、チャレンジしなくなるよね。やったとしても、ちょっと壁があると乗り越えられない。「やっぱりダメだ、どうせおれなんかダメだ」って、すぐあきらめちゃう。
 逆に自己肯定感がある子は、何事においても「できそうだ!」と思えるから、チャレンジをする。ちょっと壁があっても、「大丈夫、わたしはできるはず」っていう頑張りが利いて、乗り越えられるから、どんどん伸びていける。自己肯定感があるかないかって、非常に大きい差なんだよね。
 「叱る」の弊害は、たくさんあるんですよ。たとえば、子どもは親に対する愛情不足感や不信感から、不安でたまらなくなる。それで、愛情を確認したいという衝動にかられて、試すような行動に出てしまう。
 だから、親にわざと心配をかけるような「やっちゃいけないこと」ばかりしてしまいます。たとえば高いところから飛び降りるとか、お店のものを盗っちゃうとか、火遊び、落書き、ものを壊すとか。あるいは、弟や妹、クラスの弱い子をいじめるとか。
 そういった危険なこと、反社会的なことをやると、親が心配するから。その姿を見て「ほら、こんなに心配してくれてるから、自分は愛されてるんだ」と確認して、安心したいんだよね。
子どもが身につけるのは、意図しない「裏の教育」
 あとは、叱ることによって子どもが「裏の教育」を身に付けてしまうという弊害もあります。たとえば子どもがいくら言っても片づけをしないときに、「何度言ったらできるの!」って、いくら叱っても治らないんだよね。その代わりに子どもが身に付けるのは、「なにかできていないことがあるときは、それを理由に、相手をとがめていいんだ」ということ。子どもって、言うことは聞かないけれど、やることはまねるから(笑)。
 そうすると、何かをできていない友達を見つけると、とがめたり責めたりするようになってしまう。弟や妹に対しても、同様です。親が意図した「表の教育」は身に付かなくて、意図しない「裏の教育」だけが身に付いてしまう。「裏の教育」っておそろしいんですよ。「勉強しないとおやつ抜きだよ」とか「片づけしないと、テレビ見られないよ」って言う「罰則型」の親御さんも多いですけれど、あれも同じです。それで勉強とか片付けとかをするようにはならないんですね。代わりに何が身に付くかというと、「罰則型」の言葉です。お友達に対して「何々しないと、遊んであげないよ」とか言うようになる。そうやって必ず、意図しないものが伝わるんだよね。
忘れ物する子は叱っても直らない
 それからよく「子どもが忘れ物をしても、ほうっておけばいいんだ。困ったほうが、自分で懲りて直るから」っていう親御さんがいるけれど、これも間違いです。わたしの経験だと、こういう「自業自得方式」で直った子はひとりもいません。忘れ物が直るって、簡単な話じゃないんですよ。まず自己管理力が必要だし、整理整頓能力、段取り力、意思力とか、いろんな能力が総合的に必要なことだから。それに、モチベーションも重要です。「忘れ物しちゃいけない!」って強烈に思うこと。子どもは、そういうのがないんだよね。ほうっておいて直るとしたら、もっとずっと大きくなってからですよ。忘れ物をして「ああ、おれは本当にこのままじゃ困るな。今のうちに直さなきゃ、おれの将来真っ暗だ」と思うような経験をして初めて、強いモチベーションが生まれてくるので。その代わりに子どもは「自業自得方式」を身につけます。たとえばお友達が忘れ物をしたときに、そういう子は助けてあげない。だって、それで困ったほうが本人のためになる、と思っているから。無意識的に、そういう行動になってしまうんです。
-なるほど。では忘れ物が多い子の親はどうすればいいんでしょう?
 手伝ってあげて、いいんですよ。「手伝ったら、自分でできるようにならないからダメ」なんていう人もいるけれど、そんなことはない。そういうのも、親や先生の太古からの思い込みのひとつですよね。最初は親がいっしょに準備をして、やり方を教える。次に「自分で準備してごらん」と言って横で見ていて、最終チェックをしてあげる。次の段階は、決まった時間が来たら自分で準備をさせる、といった具合です。ステップバイステップですよね。三歩進んだら二歩下がるかもしれないし、それでも直らない子はいるんだけど(笑)、「ほうっておけば直る」ってことだけは絶対にありません。
-手伝ってあげていいと聞いて、なんだかほっとしました。叱る必要はないわけですね。
 そうです。「何々しなきゃダメじゃん!?なんでしないの?」なんてとがめる必要は全然ない。そうじゃなくて、もっと工夫してください、というのが私が一番言いたいことです。
*親野 智可等(おやの ちから)/教育評論家。長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。 ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中(撮影:梅谷秀司)

http://toyokeizai.net/articles/-/150043
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