<フリースクールの今>(上) 学びの形にとらわれない

 2017年3月5日の朝刊より、「<フリースクールの今>(上) 学びの形にとらわれない」の引用。
 不登校の小中学生数はこの二十年、十二万人超と高止まりしている。昨年十二月、学校以外の学びを初めて認めた教育機会確保法が成立し、不登校の子どもたちを社会で支援することが盛り込まれた。居場所の一つとして注目されるのが、フリースクールだ。名古屋市内にあるフリースクールを訪ねた。

◆不登校の子らの居場所に
 午前九時半。「おはようございまーす」という声とともに、名古屋市昭和区のフリースクール「まなび場」に男子中学生が入ってきた。一見すると普通の一軒家。室内は和室二間が続き、自宅にいるような雰囲気だ。小五から二十代まで二十五人が通う。
 主に不登校の子どもが通うフリースクール。全国に四百~五百カ所あり、約四千二百人が通う。学校教育法上の「学校」ではないが、学校長の判断で、参加日が出席扱いになる。
 活動内容は施設によって異なる。まなび場では、午前中が学習の時間。昼食を挟み、午後は自由。何をして過ごすかは自分で決める。読書をする子もいれば、雑談する姿も。屋外でのバーベキューや登山といった行事もある。行き先や内容は、話し合って決める。
 主宰する幸(ゆき)伊知郎さん(56)は元教師。十七年間、中学や高校で数学を教えた後、二〇〇二年にまなび場を開設した。「子ども同士の関係を大事にしたい」と言い、一歩引いて見守る。この日は、関心のあるテーマをお互いに持ち寄って考える「ゼミ」の時間があった。
 テーマは電池の仕組み。「面白そう」と六人が机の周りに集まった。今日の司会は高校三年生のダイスケ君(18)。「化学を勉強してて面白かったから」とこのテーマを選んだ。白板に図示しながら、化学反応によって電子が動くことで電気が発生することを説明した。
 「文系の自分には難しいかも」と頭をかきながらも、「どうして化学反応が起きるの?」と積極的に質問するカイ君(18)。「燃料電池はどうなってるのかな」と問うショウ君(19)の前では、サヤカさん(22)がスマートフォンで「燃料電池自動車」を検索していた。「水素と酸素を化学反応させる」と読み上げ、「水素って危なくないの?」と問いかける。二酸化炭素を出さない地球に優しい車と聞いて、「地球温暖化の原因は、本当に二酸化炭素なのか」とショウ君。次々と疑問がわき、盛り上がった。
 「最初に子どもが五分リポートして、次の二十分で話し合い。できるだけ子ども同士で教え合うようにしている」と幸さん。話し合いを通して、互いの考えを認め合う。対話ができる関係を心掛ける。
 教育機会確保法の影響や行方について、幸さんは静観する。ただ、「勉強が最優先」な今の学校の在り方には疑問を感じる。「学校に行く目的は勉強だけではないし、学びの形もさまざま。まなび場は人間関係に難しさやつらさを抱えていても、元気な子でも誰でも来ることができ、多様な子がいる場所。いろんな人に出会えることにも教育として意味はあるのではないか」
 (カタカナ名はすべて仮名)
◆「社会で支援」教育機会確保法に意義
 学校以外の場で行う「多様で適切な学習活動」の重要性を認めた教育機会確保法。京都教育大の本間友巳教授(教育心理学)は「不登校を個人の話にとどめず、社会全体で取り組むとした意義は大きい」と話す。
 学校に行かない子どもの居場所として、教育支援センターや、教育課程が弾力的な「不登校特例校」、フリースクールをはじめとした民間施設など多様な場があり、子どもの状況に応じた情報提供や支援をすることが明記された。
 経済的支援も盛り込まれた。フリースクールの運営は、主に保護者による会費でまかなわれている。月額三万円前後かかり、負担は大きく通うことを断念するケースもあるとみられる。付則では、必要な支援の在り方を速やかに検討し、必要な措置を講ずるとした。
 ただ、学校外の学びは義務教育として認められなかった。これを残念がる声や、法律によりフリースクールの多様性が失われないかと不安がる声が上がった。本間教授は「法律は一つの到達点。今後どう具体的に活用していくかが鍵となる」と話す。
 (長田真由美)

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kyouiku/list/CK2017030502000003.html
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