<要注意!!クラッシャー上司> (上)有能だけど…人の痛みに鈍感

 2017年2月27日の朝刊に「<要注意!!クラッシャー上司> (上)有能だけど…人の痛みに鈍感」という記事を見つけた。
◆松崎一葉・筑波大教授に聞
 仕事を苦役にするのは、長時間労働だけではない。仕事はできるものの、部下を次々つぶして出世していく「クラッシャー上司」もそのひとつだ。その危険性を著書「クラッシャー上司」(PHP新書)で指摘した筑波大医学医療系産業精神医学・宇宙医学グループの松崎一葉(いちよう)教授(56)に、クラッシャー上司の傾向と対策について聞いた。 (三浦耕喜)
 松崎教授がクラッシャー上司の存在に気づいたのは、十五年ほど前。某大手広告代理店に赴いた時のことだ。
 メンタルヘルス対策で招かれたはずだが、居並ぶ社の幹部の表情は渋い。同席した常務が言った。「メンタルヘルスなんてやめてくれ。俺は部下を五人つぶして役員になったんだ」。松崎教授の中でクラッシャー上司の概念が生まれた瞬間だった。
 クラッシャー上司とは何か。松崎教授は「一言で言えば、部下を精神的につぶしながら、どんどん出世していく人のことです」と定義する。その人は基本的に能力があって仕事ができる。部下は心を病んで倒れていくが、業績はトップクラスなので、会社は問題に気付いても処分できない。結果として、どんどん出世してしまうという。
 人格を否定したり容姿をやゆしたり、「バカ!」などと暴言を吐いたりすれば、単なるパワハラ上司として指摘もしやすい。だが「クラッシャー上司は頭がいいので、そんなことは悪いこと、やってはならないことだと知っている。そうではなく、自分のやっていることは善なのだという確信すら抱きながら、部下を追い詰めていくのです」。
 松崎教授が挙げたのは、部下への指導に熱心な上司の例だ。

 ある機械メーカーの課長が二十代の部下に顧客の要求が厳しい案件を任せた。課長には部下を育てたいとの思いがあった。案件が行き詰まってくると、深夜まで残業続きの部下に課長は張り付いて指導した。「俺もこうやって鍛えられてきた」「客の信頼を失ってはならないぞ」と叱咤(しった)激励を続けた。部下には休む暇もなくなった。
 そんな仕事が数週間続いたある日、部下は出社できなくなり、療養を要する身に。間に入った総務担当に課長は「やっぱり最近の若いやつはだめだ。他のできるやつを回してよ」と言ったという。
 松崎教授は「この場合、課長に悪意はない。むしろ部下の成長を期待して支援にも熱心だ。だから付きっきりで指導する。だが、自分がそうすることで、そうされる側の部下がどれだけつらい思いでいるのか。そこが共感できない」と言う。他者の痛みに鈍感なのが共通点。「自分のやり方は正しく、こうして部下を鍛えている自分は善であるという確信が揺らがないからです」
 ネチネチと質問と要求を投げかけて、一時間でも二時間でも部下を「雪隠ぜめ」にするタイプも、クラッシャー上司として要注意だと松崎教授は指摘する。「じりじりと部下を追い込み、逃れるすべを奪っていく。部下が戸惑い、おびえるのを見て、さらに攻撃性を増すやり方です」
 鉄壁の論理を構築し、部下を反論の余地のないところまで心理的に追い詰めていく。「部下が疲れ果てて『すべて自分の間違いです』と平伏するまで延々と議論するのも特徴」だ。
 会社にとって人は貴重な資源のはず。なのに壊された側は脱落し、壊した側は悪びれもせず出世する。この理不尽さがもたらすものとは。続きは三月六日の次回で。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201702/CK2017022702000152.html
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