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「質」より「量」の教育改革

 「内外教育」2009年6月30日 第5920号より。  スナック菓子などの袋に、「10%増量」などと書かれているのをよく見掛ける。菓子に限らず、洗剤や歯磨き粉などでも増量サービスが行われている。  最近、教育界でも増量サービスが行われるようになった。学力低下への対応から、2学期制を導入する地域も見られるが、これは授業時数の確保、つまり授業時数の増量策にほかならない。新学習指導要領も授業時数と教育内容の増量を図ったところである。  市町村費負担教員の採用によって教員数を増量する自治体がある。夏季休業中等の自主研修の扱いの厳格化によって教員の校内実勤務日数増加した。教員研修は、10年経験者研修をはじめ各種経験者研修や免許更新講習などで増量されてきている。  また、大学でも「量」にかかわる改革が進められている。例えば、都内のある私大では、各期15回の授業回数を確保するために、祝日も通常授業を実施し、休講分は必ず補講するよう義務付けられるなど「量」の確保に躍起になっている。他大学でも15回確保のために、7月下旬まで授業を実施しているところがある。しかし、そうした大学のある教員は、こんなことを口にした。これまで、各期終了後に、希望学生を集めてリポート指導やディスカッションなどの機会を任意に設けていたが、15回確保になってからは時間的余裕だけでなく、気力も無くなった、と。  このように、近年の教育改革は「質」よりも「量」にこだわっている。そこには授業時数が学力向上につながり、研修機会増が教員の資質向上を促し、大学の授業数確保が学士力向上に資するという単純な図式がある。  しかし、そうした改革では、授業時数増が児童・生徒の負担を増し、研修機会増が教員の心身を拘束し、授業時数確保が大学生活からゆとりを奪うという側面が軽視されているのではないか。見方を変えると、「量」にこだわる改革は当事者の立場を見据えた改革になっていないような気がする。  授業時数が増えても、中味の薄い授業なら意味がない。時数増で教員負担が大きくなるから、授業の質的低下が懸念される。教員研修も夏季休業中などに自由な研究が行える方が有意義なのではないだろうか。大学の授業も、ゆとりを奪う増量では、研究や学問の本質が失われそうだ。  大切なのは「質」である。スナック菓子は、増量されてもおいしくなければ誰も買ってくれない。たとえ少量でも、おいしい方が好まれたのではないか。今後の教育改革は「量」よりも「質」を大切にしてもらいたい。  「業者テストは廃止」→「全国学力調査」  「自主性、主体性、考える力」→「学力が付いていない」  「ゆとり教育」→「時数を増やせ」・・・  お上は、理想論を言うだけ・・・現場が揺れて困ってしまう。
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