FC2ブログ

児童養護施設と学校・後編

 8月9日のblogの後編です。 http://edublog.jp/fmv/archive/719  月刊JTU9月号の「ケースワーク『子どもの貧困』伊勢和彦先生(奈良県)より。  『このままでは、職員から自殺者すら出かねえない』学校長から県への訴えには、そう記された一文があった。保護者からの苦情は繰り返され、保護者会開催、校区変更や新しい施設建設要求の署名活動にまで発展した。思い職員会議は夜遅くまで続いた。「もう担任を下してください」そう校長室で泣きながら訴える同僚と確認し合う。「私たちはひとりではない、チームだ」「待ってくれる子どもがひとりでもいる限り、教壇に立とう」「大人を信じられなくなった子を、私たちが見捨てるのか」そう言い合い、涙を流しながら学年会をしたのは、一度や二度ではない。職員一人ひとりが、それぞれのポジションで歯を食いしばり授業を続けた。私は人権教育推進教員として、毎朝保健室に行く。十人ほどの子どもが、たむろしている。床に布団を落としそこで寝転ぶ子。足の折れたベッドで飛び跳ねる子。その子たちと怒鳴り合い無理に教室へ連れて行っても、さらに教室が混乱する。一人ひとりに話しかける。虐待をうけた子は身体に触られるのを嫌がった。罵声を浴びせられ差し出した手を振り払われる日が続いた。施設との連携が大切と解っていたのではない。それは、救いを求め、そうせざるを得なかったからだ。毎日のように施設に足を運び、『反応性愛着障害』をはじめ、様々な知識や対処スキル、関わり方を教えていただいた。「大人を嫌いだという子に、好きになってもらおうとしては駄目。媚びてしまう。こちらからその子を好きになる。そうすれば何をすればよいかが見えてくる」、施設長に教えていただいた。その言葉を支えとした。ある夏の日、施設に行くと指導員が房半分の葡萄を差し出してくれた。  「院での昨日のおやつです。今日、伊勢先生が来ると知って、Aさんは食べなかったのです。一緒に食べると言って」。胸がいっぱいになり、涙で口にした葡萄を飲み込めなかった。一学期も終わろうとする頃、ベッドで寝転んでいる子の頭をなでてあげると寝息をたてて眠ってくれた。そしてひとりずつ、私と一緒に教室へ戻るようになった。やがてすべてのクラスで授業が成立した。私たちはそれを『奇跡』と呼んだ。  その頃全国で『タイガーマスク運動』が広がっていた。この施設にもタイガーマスクが現れた。早朝、施設幼児棟の前に手紙と共に置かれていたお菓子は以前、施設で子たちたちに配られたものだった。プレゼントの文房具の消してある名前をすかすと、施設で暮らす子の名前が見えた。施設の上級生たちが、同じ施設で暮らす一番年下の子どもたちに贈った物だった。施設長はこう語って下さった。「うちの施設に来る子どもたちは、自分の物を人に分け与える子ではない。自分たちが、何ももらってこなかったのだから。そんな子らが人に分け与えるようになった。それは、自分がたくさんのものをもらえたと心から思えたから。小学校でたくさんの気持ちをもらったからだ。小学校の職員のみなさんに本当に感謝しています。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ニャン太郎

Author:ニャン太郎
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
COUNTER
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR