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子どもにやる気を与え理解を促進する算数のほめ言葉

 『楽しい算数の授業』(明治図書)2011年8月より、田上富男先生(栃木県芳賀郡市貝町立市貝中学校長)の記事。
 詳しくは本誌をお読みください。
1 ほめ言葉は使ってはいないと出ない
 どの教師も、子どものよさを見取り、ほめて伸ばしてあげようと思っている。だから、授業における子どもの行為や発言に対して、「ほめる」ということは教師の基本的行為である。では、実際はどうだろうか。私は、この原稿を書くにために算数の授業ビデオを5本ばかり見た。すると、意外にもほめ言葉が少ないことに驚いた。特に一斉指導では少なく、多くの授業パターンは次のようであった。
教師「これはどうなりますか。」
子ども「○○だと思います。」
教師「△△さんの答え、どう思いますか。」
子ども「いいでーす。」(或いはハンドサインで示す。)
教師「そうですね。これは○○になります。では、これはどうなりますか。」
子ども「□□です。」・・・
 一斉指導では主に、このような教師と子どものやりとりが繰り返される。つまり、教師の発問に対して子どもの誰かが指名され答える。それを教師は、他の子どもたちに確認し、正しければ次へ進む。もし間違っていれば、正しい答えや付け足しがある。それらもまた、他の子どもたちが認める、という形で授業が進められる。このような展開では、教師のほめ言葉が入る余地はない。
 これに対して、ほめ言葉を上手に使っている教師の授業は活気があり、見ていて実に心地よい。ある教師は、少し発展的な問題を提示し、一番早く手を挙げた子どもに対して、「○○さんは勇気があるね。」と手を挙げたことをほめている。この後の展開でも、次のようにうまくほめ言葉を使っている。
子ども「120×120です。」
教師「ああ、センスいいね。以前もこの問題に対して、○○さんと同じ120×120と答えた子がいたんだけど、その子はとても算数ができたんだよ。○○さんすごい!!」
教師「じゃ、120×120暗算できる。」
子ども「120は60×2だから、60×2×60×2=60×60×4、60×60は3600だから4倍して14400です。」
教師「おお、できたね。早いな。なーるほど、これなら暗算でもできるよね。すばらしい!」
 この教師は、堂々子どもの行為や発言に対して、驚きやセンスのよさをほめているのだろう。だから、自然にほめる言葉が出るのである。ほめ言葉は普段から使っていないと出てこないため、意識して使うことが肝心である。

2 やる気を喚起するほめ言葉
 次は、「給食の好きなもの調べ」を工夫して絵グラフに表している授業である。
教師「○○さんのグラフ、どうですか。」
子ども「ああー、わかった大きい順にしてみたんだ。」
教師「どうですか。大きい順に並べて・・・。見やすいですねー。グー!」
子ども「あいているところに数字をかいてみました。」
教師「数字をかいてみたんだね。なるほど!わかりやすい。よく気がつきましたね。」
子ども「ぼくも工夫してみよう!」
教師「○○さんも工夫したくなっちゃたんだ。すごーい。」
 教師が子どもの絵グラフの工夫点を認めてほめてあげることによって、「工夫する」ということを意識していなかった子どもが、思わず「ぼくも工夫してみよう。」とつぶやいたのである。教師はこれを見逃さず、即「工夫したくなっちゃったんだ。すごーい。」とほめて返している。
 教師と子どもの言葉のキャッチボールが大切であり、教師の賞賛はそれを促進する。そのほめ言葉は、本人はもちろんであるが、クラスの子どもたちのやる気を喚起する。だから、はっきりとほめることである。たとえ、机間指導で一人一人個別に指導しているときであっても、ほめ言葉は他の子どもにも聞こえるように言った方がよい。そうすることにより、他の子どもに刺激を与えるとともに、授業をpテンポよく展開することができる。

3 ほめ言葉は簡単でわかりやすく
 机間指導で子どものノートを見て、「はい合格!」「よくできました。他の方法も考えてみよう。」「できているね。すごい!」「ここまではできているよ。もう一度、教科書を見てみよう。」などと、教師がテンポよく声をかけ、○を付けている。どの子どもも、真剣に問題に取り組んでいる。このような授業では、一斉指導でも教師と子どもとのコミュニケーションが円滑に行われ、活気のある授業が展開されている。
 机間指導は、目的をもたずにただ机間を回っている「机間散歩」では困る。子どもがどのように考えてこの問題を解決したのか。どこでつまずいているのか。机間指導における言葉かけは重要であり、特に、ノートを見て、適切な指導をすることが求められる。その場で子どもの考えを即座に見取り、適切なほめ言葉をかけたい。例えば、
 「難しい問題ができたね。すごい!」
 「早いなー。もうできちゃったんだね。」
 「そのとおり、すばらしい!」
 「かなりいいせんいっているよ。」
 「これもいいそ、この調子でがんばれ!」
など、ほめたり励ましたりする言葉は、簡単でわかりやすいことが基本である。簡潔で具体的な言葉は、子どもの心に残りやる気を与える。大切なことは、些細なことでも、よいことはしっかりとほめることである。そして、期待感をこめてほめる。
 教師が子どもをほめるという行為は、継続してはじめて、その成果が得られるものである。したがって、日常化が大切であり、そのためには、教師がやはりほめることを意識していなければ継続は難しい。

4 考え方のよさをほめる
 算数の授業では、子どもの解き方や発表の中で、必ず数理的な処理に関わる部分がある。それは授業のねらいを達成するために重要な部分であり、それを的確に捉えてほめることが肝心である。例えば、
 「繰り下がりが正確にできているよ。」
 「対角線で3つの三角形に分けられたね。」
 「2個ずつ増えていることに気付いたね。」
などは、算数の本質的部分を指摘するほめ言葉である。こういったほめ言葉は、学習のポイントを明確にし理解促進につながる。中でも、着眼点や簡潔性など考え方のよさを大切にし、それを見取り大いにほめてほしい。
 例えば、下の図のように並んだクッキーの数を6×4や6×5-3×2として求めた子どもは、特異な解法として、その数学的センスをほめたい。前者では「上の3個を移すと、6個が4列になり簡単に求められるね。よく気付いたね。」、後者では「引き算を使ったことがすばらしい!」などと、図や具体物を使いながら、他の子どもにも理解できるようにほめることが大切である。
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5 教師の数学的センスも必要
 子どもの考えは実に多様で柔軟性がある。そのため、時として教師が予想できない解答もある。授業で次のような問題が出された。
 「かごにりんご1個とみかん1個を入れてはかったら、500gでした。次に、かごにりんご2個とみかん1個をいれてはかったら、850gでした。(1)りんご1個の重さは何gですか。(2)かごは45gです。みかん1個の重さは何gですか。」
 ある子どもは、りんご1個の重さを500-150という式を立て、350gと求めた。普通、この問題は、500gからりんご1個増えて、850gになったのだから、りんご1個の重さは、850-500という式を立てて、350gと求めることを期待している。しかしこの子は、500-150として求めている。どう考えたのだろうか。
 それは、次の式を見るとわかる。この子は、みかん1個の重さを150-45=105としている。つまり、みかんとかごの重さが150gとなることを知っていたのである。それは、りんご1個とみかん1個とかごの重さが500gであるから、1kgでは、りんご2個、みかん2個、かご2個となる。このことから、みかん1個とかごの重さは150gだとわかる。だから、りんごは500gから150gを引けば求められたのである。
 教師はこの子に解き方の説明を求めたがうまく説明できなかった。教師は「このような求め方もあるね。よくできました。」と称賛し、解き方の本質的な部分は避けてしまった。
 算数の授業では、このように正しい答えが出ているが、その考え方がすぐに読み取れない時や、子ども自身もうまく説明できない場合がある。しかし、その解法には子どもの鋭い直観力やセンスのよさが働いている。教師にはそれを直ちに読み取り、賞賛し、他の子どもに返してあげることが求められる。子どもの数学的な考え方のよさをほめるには、教師の数学的センスも要求されるため、常日頃から磨いておくことも大切になる。

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